2015年10月21日

デジレ・ランカトーレに心奪われた夜

昨夜はイタリア文化会館主催のイベントに参加しました。「デジレ・ランカトーレに訊く 音楽とわたし(インタビュー:井内美香)」というもので、ぼくはあまりよく知らなかったのですが、来日中のプラハ国立歌劇場のプリマドンナです。
 ネットで経歴を見ますと、18歳でザルツブルク音楽祭の《フィガロの結婚》でデビューして、その後、スカラ座、英国ロイヤル・オペラ、ウィーン国立歌劇場、ローマ歌劇場など、数々の一流オペラハウスで歌って、その地位を不動なものとしたようです。今回はプラハ国立歌劇場とともに来日して、実は4日前に東京文化会館で、椿姫のビオレッタを演じたばかりでした。ぼくは見ていません。このあとは大阪と名古屋の公演だけなので、惜しいことをしたものです。 
 イタリア文化化会館に来るのも初めてでしたが、地下にりっぱなホールがあり、メディアで宣伝したわけでもないのに、たくさんの観客で八割かた席は埋まりました。七時から音楽ジャーナリストの井内美香氏とのトークでイベントは始まりました。途中で二曲、歌の披露があり、八時からはイタリア国営ラジオ放送Rai3の番組「ラ・バルカッチャ」の中継になりました。それが二十分ほどで終わったあと、観客からの質問に答えるやり取りもあり、最後にもう一曲歌ってくれて終了したのですが、その頃にはもうすっかりデジレのファンになっていました。
 トークが始まるやたいへんな親日家ということがわかりましたが、やはり嬉しいものです。まだイタリアに旅行したことがないので、イタリア人の女性が一般的にどういう感じなのかわかりませんが、デジレは気さくで明るく、誰にでも好かれそうな人柄に思えました。それでもオペラについて語った内容からは、たいへんによく勉強していることが窺え、高い知性の持ち主であることもわかりました。
 披露してくれた歌は椿姫から二曲とフランス語の歌が一曲。生でかつ間近で聞けたその三曲は、いずれもそれはもう素晴らしいものでした。
 ところでこのイベントは無料でした。すごいなと思ってフランスやドイツなどの在日大使館のサイトを見たのですが、このように立派なホールで一流音楽家の生演奏を無料で聞かせてくれるイタリア文化会館のような組織、施設を持っているところはありませんでした。イタリアという国が自国の文化や芸術をいかに誇らしく思っているのかわかります。これもまたひとつの国力なのだと思いました。

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2015年10月07日

カタルーニャの独立運動のこと

 旅から帰った十二日後、カタルーニャ州議会選挙がありました。ご存知の通り、分離独立派の政党が過半数を獲得しました。ただ独立賛成者数では、48%と過半数を下回ったのですが、州政府のマス首相は「独立を支持するわれわれと民主主義の勝利だ」と勝利を宣言をしました。
 スペインリーグを見ていたことは書きましたが、宿敵レアル・マドリードとの対戦ゲームは、決して負けることが許されない重圧の中での戦いなので、見ごたえのある激しいものになりスペイン中が熱狂します。バルサのホームスタジアムには「Catalonia is not Spain」という横断幕が掲げられているのですが、これまで実際に独立を支持しているのは35〜40%程度だと言われていました。それが今回48%とは独立を望む人が増えているということでしょう。
 今回の旅行でバルセロナには一泊しただけですが、アンダルシアやラ・マンチャとはまるで違う洗練された都会という印象を強く受けました。カタルーニャ州はGDPでスペインの20%を占め、経済は豊かです。地中海沿岸の温暖な気候に加え、ガウディの建築物など豊富な観光資源により観光産業が好調なので独立しても十分やっていけると考えている人が多いのでしょう。それにフランコ時代に弾圧された因縁も根深く中央政府への反発が強いのはまちがいありません。
 スペイン政府は、そもそも独立の是非を問う住民投票が違憲だとして反対しています。。議会も、規定順守を怠った政府当局者を辞職させたり罰金を科す権限を裁判所に与える措置を承認するなど独立阻止の動きを強めているそうです。でも中央政府や議会があまりに強硬な態度をとると、かえって独立支持派が増えるような気もします。
 スコットランド独立を問う選挙のときも思いましたが、こうした各国で独立運動を推進している人々は、独立してもEUに所属するから通貨もそのままeuroが使えるし、安全保障面の懸念もないと考えているのでしょう。でもギリシャ債務危機の問題に続き、難民問題でEU自体がたいへんな事態を迎えています。このような世界情勢を鑑みると、カタルーニャの人々には独立問題は慎重に考えてほしいと思ってしまいます。


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レコンキスタの歴史から学ぶべきこと

 阪急交通社のスペインツアーから帰国して三週間になろうとしています。印象が薄れないうちに旅の記録をブログにでも書いておこうと決めていたのですが、なかなか筆が進まないうちに時間が経ってしまい、脳裏に焼きついていた強烈な印象が薄れつつあります。ちょっと淋しく思いますが、八日間のツアーなのでこんなものなのでしょうか。
 二年前までテレビでスペインサッカーをずいぶん見ていたので、スペインにはフランコ時代に遡るマドリードとカタルーニャの対立があること、またそれだけはなく、バスク地方やアンダルシア地方などでもたいへんに地方意識、民族意識が強いことは知っていました。でもヨーロッパの中で歴史的にどのような存在だったかといったことはよく知りませんでした。
 今回は旅が始まるやすぐに、そして繰り返しレコンキスタの話を聞きました。トレド、コルドバ、グラナダの観光が続いたので、イベリア半島の歴史は、いわばキリスト教とイスラム教の戦いの歴史のように思えました。コルドバのユダヤ人街を歩きながら、レコンキスタが起こるまでは、キリスト教徒もイスラム教徒もユダヤ教徒もここで共に暮らしていたことを聞きました。グラナダには多くのムスリムやユダヤ人が移り住み、彼らの貢献で経済的にも文化的にも街は繁栄しました。それがレコキスタにより、異教徒への改宗強要、略奪と追放、その果ての殺戮となっていきました。
 そしてまさに現代、アフリカや中東ではISやタリバンが台頭し、それによって弱小国家が破綻して膨大なな数の難民が生まれています。先進諸国はISに対応できておらず戦争拡大は避けられないでしょう。またパレスチナとイスラエルの紛争も再び激化しています。宗教は異教徒を認めないドグマとなり、あらゆるところで対立する意見や考え方を暴力で封じ込めようしています。
 人間はレコンキスタの歴史から学ぶべきことを何も学んでいない。そんなことを考えました。

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